2010年12月31日金曜日

セイバーメトリクス入門⑪

16、XR(eXtrapolated Runs)

RCと同様に個人の得点創出能力を示す指標。算出方法は以下の通り。

単打×0.5+二塁打×0.72+三塁打×1.04+本塁打×1.44+(四死球-故意四球)×0.34+故意四球×0.25+盗塁×0.18-盗塁死×0.32-(打数-安打-三振)×0.09-三振×0.098-併殺打×0.37+犠飛×0.37+犠打×0.04


過去のメジャーリーグのチーム成績を元に重回帰分析を行って算出されているため、例のごとく非常に複雑な計算式となっています。しかし、複雑になっている分より精密な値が出るため、RCよりも正確な指標だという声も多くあります。また、RCと同様に打席が多いほど大きくなるので個人の打席数によって比較するXR27という指標も有ります。算出方法はコチラ。


(XR×27)÷(打数-安打+犠打飛+盗塁死+併殺)


メジャーリーグでは、このように多くの指標を用いて打者の力量を見極めているわけです。

2010年12月24日金曜日

セイバーメトリクス入門⑩

15、TA(Total Average)

算出方法:(塁打+四死球+盗塁-盗塁死)÷(打数-安打+盗塁死+併殺打)


これも打者に関する指標。一人の打者が1アウトあたりにどれだけの塁を獲得することができたかを表す指標です。OPSとはコンセプト的には同じですがアウトで分母をとっている点が異なり、より出塁能力を重視した指標といえるでしょう。平均値は8割半ばぐらいでしょうか。ちなみに、今季の日本プロ野球で10割を超えた選手は和田(中日)、阿部(巨人)、小笠原(巨人)、青木(ヤクルト)、カブレラ(オリックス)の5人。今季30本塁打以上の打者が名を連ねる中で、14本塁打の青木が入っているのは興味深いところ。首位打者獲得が効いたといえます。逆に、214安打のマートンは8割6分2厘と並み。668打席で47四球という点が影響したのではないかと思われます。

2010年12月21日火曜日

セイバーメトリクス入門⑨

13、レンジファクター(アウト寄与率)

算出方法:(刺殺+補殺)÷守備イニング数×9


守備に関する指標です。これは1977年に考案されたもので、のちの守備防御点などの素になった指標でもあります。一イニングあたりの守備機会数を計算したものであり、野手の守備範囲の広さを表します。数字が大きければ大きいほど、その選手の守備範囲は広いといえます。


14、ゾーンレーティング

これも守備に関する指標。シーズン中のすべてのプレーを解析し、野手が50%の確率で処理できた範囲の打球をそのポジションの守備範囲とし、その範囲内に飛んできた打球をどれくらいの割合で処理できたかを計算します。レンジファクターと違い、ポジション近くに飛んできた打球のみで選手の守備能力を評価できる反面、守備範囲を超えて処理した打球は対象外なので守備範囲の広い選手には不利だといえます。

2010年12月20日月曜日

ここ数日の動き

○ブルワーズ、トレードでザック・グリンキー投手、ユニスキー・べタンコ―ト遊撃手獲得



また大物の移籍。グリンキーは一向に進まないロイヤルズの再建策に業を煮やしてか、先日からトレード要求を表明していました。今季は防御率4.17、10勝14敗とやや不調でしたが09年に16勝、防御率2.16という成績でサイヤング賞を受賞しています。ブルワーズにとっては先日のマーカムに次ぐ先発投手の獲得となり、来季のナ中部地区は面白くなりそうです。また、べタンコート遊撃手も今季16本塁打とパンチ力ある打撃が魅力の選手。ですが、選球眼が全くないうえ守備にも難があるのであまりいい補強だとは思えません。一方、ロイヤルズは見返りとしてアルシデス・エスコバル遊撃手ら4選手を獲得。エスコバルは今季レギュラーとして出場していました。


○ツインズ、西岡と3年900万ドルで合意



ポスティングでの米球界入りを目指していた西岡選手でしたが、岩隈とは違い無事夢をかなえることができました。スモールベースボールを標榜するツインズにとって西岡はもってこいの選手。おそらく2塁での起用がメインとなるでしょうが、いい戦力になると思います。


○アスレチックス、トレードでジョシュ・ウィリンガム外野手を獲得



打線強化を狙うアスレチックスですが、先日の松井秀喜選手に続いて大砲を獲得しました。今季はけがに泣いたウィリンガムでしたがそれでも16本塁打と長打力を発揮しました。また通算出塁率は3割6分7厘と打率より1割も高く、出塁能力にたける選手でもあります。これで、来季のアスレチックス外野陣は左翼にウィリンガム、中堅にココ・クリスプ、右翼にデービット・デーヘイスース、第4の外野手にライアン・スウィニーという布陣が予想されるため松井の守備機会はほとんどなさそうです。


○タイガース、マグリオ・オルドニェス外野手と再契約



オルドニェスは07年の首位打者(3割6分3厘)で通算2072安打の巧打者ですが、今季はけがのため84試合の出場に終わり、球団からオプションを破棄されていました。しかし、今季も3割をマークした上12本塁打、59打点と試合数にしてはかなりの数字を残しているので再契約に至ったのだと思われます。来季で37歳ですがまだまだ活躍してほしいです。


○レッドソックス、ボビー・ジェンクス投手と2年1200万ドルで合意



ゴンザレス、クロフォード、と次々と大物の獲得に成功しているレッドソクスですが、今季崩壊したブルペン陣の補強にもひとまずは成功しました。ジェンクスは今季までホワイトソックスで6シーズンプレーし、通算173セーブを挙げている現役屈指のクローザー。ですが、通算防御率は3.40、WHIPも通算1.21と絶対的に安定しているとは言えない数字。レッドソックスにはジョナサン・パぺルボンという絶対的守護神がいるためセットアッパーとしての役回りが期待されるでしょう。また、レッドソックスは6年連続65登板以上のダン・ウィーラー投手とも1年300万ドルで合意しており、ブルペン陣の補強も着々と進んでいるようです。

○その他の動き
カブス、ケリー・ウッド投手と1年150万ドルで合意
パドレス、オーランド・ハドソン二塁手と2年1150万ドルで合意
アストロズ、ユーティリティプレーヤーのビル・ホール選手と1年325万ドルで合意
マーリンズ、リッキー・ノラスコ投手と3年2650万ドルで契約延長

ウッドは2008年以来となる古巣復帰。ハドソンは念願の複数年契約を勝ち取りました。ホールは複数ポジションをこなせるうえ今季18本塁打とパワーも有り、リーグ最少本塁打に終わったアストロズにはいい補強でしょう。ノラスコは3年連続2ケタ勝利とローテの軸として活躍しています。

2010年12月19日日曜日

セイバーメトリクス入門⑧

12、BABIP(Batting Average on Ball In Play)

これも打者の新しい評価基準。これは本塁打、四球を除き、インプレーになった打球がヒットになる確率を表すものです。算出方法は次の通り。

(安打-本塁打)÷(打数+犠打飛-本塁打-三振)


この指標は、打った打球が相手野手のいないところに行くか行かないかによって大きく数字が変わってくるので、一般的には年度による差が大きくなるのが特徴です。それゆえ、運による要素が非常に大きいといわれます。一般的な値は3割前後とされていますが、ある年に突然好成績を残した打者の値が3割を大きく超えていた場合、その年は運が良かっただけとみなされ、セイバーメトリクス的にはあまり評価されません。逆も同じです。前回紹介したDIPSと同じく、従来の評価基準では見逃されてきた選手本来の実力をはかる数値といえるでしょう。

2010年12月18日土曜日

今季ユニフォームを脱いだ選手たち2010③

5、ノマー・ガルシアパーラ(レッドソックス~カブス~ドジャース~アスレチックス)



アレックス・ロドリゲス、デレク・ジーターとともに「遊撃御三家」と称されたボストンのスター。96年にデビューすると翌97年には3割30本塁打、リーグ最多の209安打を記録し新人王を獲得。一躍メジャートップクラスのショーとストップになりました。99年には3割5分7厘、翌年には3割7分2厘と2年連続で首位打者を獲得。翌年はけがのため21試合の出場にとどまりますが、02年はリーグ最多の56二塁打、120打点と復活。球界ナンバーワンの遊撃手としての名目を保ちました。しかし、2003年開幕前に球団と契約交渉をめぐりモメてしまいます。その年は好成績を残し、オフには女子サッカー選手のミア・ハムと結婚するなど私生活でも充実していましたが、結局球団との交渉はまとまらずに終わります。2004年開幕前には、マニ―・ラミレス⇔アレックス・ロドリゲス、ガルシアパーラ⇔マグリオ・オルドネスという大型トレード計画が発覚。この計画は実現しませんでしたが、球団側もガルシアパーラ放出にむけて動き出していました。さらに悪いことに彼自身もオープン戦で負傷し開幕から出遅れ。6月に復帰しましたが、打撃・守備友に精彩を欠きついに7月31日にシカゴ・カブスに四角トレードで放出されます。トレード決定後、ガルシアパーラはチームメイトに対し「ワールドシリーズでまた会おう」と言い残して去っていたという逸話は有名。しかし、カブスはプレーオフ出場を逃す一方でレッドソックスは86年ぶりの世界一に。彼の見返りに獲得した0・カブレラやD・ミンケイビッチなどのゴールドグラバーの活躍でディフェンス面での強化がなされたことが世界一の要因のいつになったことは皮肉でしょう。



カブスで新たなキャリアをスタートさせたガルシアパーラでしたが、このチームではあまり活躍できずに終わります。打撃面はともかく、守備面での衰えが顕著だったからです。結局、05年オフにドジャーズと契約しますが、遊撃手としての起用はなされず一塁手としての起用がメインとなります。しかし、それに奮起したのか06年は開幕から好調。久々にオールスター出場を果たします。この年は3割20本塁打を記録しカム・バック賞を受賞。三振はわずかに30と往年の打棒が戻ってきたかに思えました。しかし、翌年はわずか7本塁打と低迷。08年はけがで55試合の出場にとどまり退団。アスレチックスと契約した09年には久々にフェンウェイ・パークに戻りボストンのファンから盛大なスタンディング・オベーションをうけます。しかし、肝心の成績は65試合の出場で3本塁打とさらに低迷。そして今年の3月10日に引退を発表。古巣ボストンと一日契約をかわしての引退でした。結果的に30歳を境に急激に衰えていしまいましたが、90年代後半を代表する選手でした。

通算成績:http://www.baseball-reference.com/players/g/garcino01.shtml


6、ケビン・ミラー(マーリンズ~レッドソックス~オリオールズ~ブルージェイズ)



一瞬だけ中日にいたこともある選手。メジャーデビューは98年。この時すでに27歳と割と遅咲きの選手でした。マーリンズでは主軸として活躍し01年には20本塁打85打点を記録。03年オフにFAとなりますがこの時に中日がオファー。一度は入団が決まりかけます。しかし、突如レッドソックスが獲得を表明。「日本の球団に譲渡するためウェーバーにたけた選手は獲得しない」という紳士協定を破るものでした。当初、中日はこれを拒否しますがミラー本人は打って変わってレッドソックス入りを希望。結局レッドソックス入りが決まります。移籍後は勝負強いと打撃とひょうきんなキャラクターでたちまちボストンの人気者となり04年の世界一に貢献。06年からはオリオールズに在籍し主軸として活躍。しかし、07年、08年と2年連続でOPS8割未満とし徐々に衰えを見せ始めます。ブルージェイズに所属した09年は78試合の出場で7本塁打に終わり一年で退団。10年はシカゴ・カブスとマイナー契約を結びますが開幕直前に解雇されます。ミラーはこの時点で既に引退を決めていたようですが、彼は最後の花道を作るべく、独立リーグのセントポール・セインツの入団テストを受験。見事合格を果たします。このセインツはドラフトから外れたミラーが大学卒業後に最初に所属した球団。ここでの活躍が認められフロリダ・マーリンズとのマイナー契約を勝ち取るわけです。メジャー昇格後も試合観戦に訪れるなどつながりは深く、ミラーはこの球団を最後の舞台に選んだのです。結局一年プレーしその年限りで引退。最後までセインツを愛し、去って行きました。

通算成績:http://www.baseball-reference.com/players/m/millake01.shtml

2010年12月17日金曜日

セイバーメトリクス入門⑦

11、DIPS(Defense Independent Pitching Statics)

近年注目を浴びている全く新しい投手の評価指標です。この指標のコンセプトは投手の成績を「投手自身でコントロールできるもの」と「投手がコントロールできないもの」とに分け、前者のみで投手の力量を評価しようというものです。すなわち、単打などの本塁打以外の安打は守る野手の力量によるものであり、投手自身ではコントロールできないものとみなします。なので、投手のみに責任がある要素は与四球、奪三振、被本塁打の3つであるといのがコンセプトなわけです。当初、この指標には数多くの批判が寄せられましたが、今ではその有用性が広く認められています。


算出方法はいろいろありますが主に使われているのは下記の2つです。

①(与四球×3+被本塁打×13-奪三振×2)÷投球回+3.2
②{(与四球-故意四球+死球)×3+被本塁打×13-奪三振×2}÷投球回+3.12

またその後の研究ではこれに改良を加えたDIPS2.0と呼ばれる指標も提唱されています。算出方法は下記の通り。

{フェアフライによるアウト数×(-0.041)+ゴロによるアウト数×0.05+ファウルフライによるアウト数×0.251+ライナーによるアウト数×0.024+与四球×0.316+与死球×0.43-奪三振×0.12}÷投球回×9


非常に煩雑です。どうやったらこういう方法にたどりつくのか知りたいです。


ちなみに、被本塁打については捕手の責任もあるという声もあると思います。確かに日本では捕手が投げる球を判断して投手をリードするということが一般的なので、投手の責任は捕手の責任でもあります。しかし、メジャーでは投手の自己判断によるところが多く、捕手はあくまでアドバイスを送るだけにすぎません。セイバーメトリクス信奉者が「捕手は投手の投球にほとんど関与しない」とよく言うのはそのためです。それゆえ、この指標は日本では通用しきれないでしょう。

ここ数日の動き

○松井秀喜、アスレチックスと1年契約で合意

何度も報道されている通り、ゴジラ松井のアスレチックス入りが決定しました。今季リーグトップの防御率を誇ったアスレチックスですが、打撃ではクーズマノフの16本塁打、71打点がチームトップと不振。強打者の獲得が急務でした。資金力に限界のある同球団にとって、彼のように2割8分、25本塁打を期待できる打者はもってこいの存在。マークは厳しくなると思いますが、ぜひエンゼルスを見返すような成績を残してほしいものです。


○エンゼルス、ダウンズを獲得

今年はブルペンが不調だったエンゼルス。先日の高橋尚成に続いてのリリーバー獲得となりました。ダウンズはここ5シーズンで323試合に登板。クローザーのロドニーにつなぐセットアッパーの役割を期待されています。ワース、クロフォードの獲得を逃し、ベルトレ争奪戦にも後れをとっており、すっかり今オフの負け組という印象の強いエンゼルスですが、弱点の補強は確実にできたと思います。


○ヤンキース、ラッセル・マーティンと合意



正捕手ポサーダが衰えを隠せず、2番手捕手のサルベリも今季13失策と今一つのヤンキース。06年ナ新人王のマーティンの加入は大きいです。ここ2年は不振に悩まされていますが本来ならば打撃のいい捕手。守備面ではリードの評価が高く、黒田をはじめドジャーズ投手陣から全幅の信頼を置かれていました。また肩もそこそこ強いため、ポサーダの守備力の低さに悩まされてきたうえ、先発陣がコマ不足のヤンキースにとってはいい補強となると思います。


○その他の主な動き
パイレーツ、ライル・オーバーベイ一塁手を獲得。
ダイヤモンドバックス、ゼイビア・ネイディ外野手を獲得。
ドジャーズ、マット・グーリア投手を獲得。
アスレチックス、リッチ・ハーデン投手を獲得。
マリナーズ、ブレンダン・ライアン遊撃手を獲得。
ヤンキース、マーク・プライアー投手を獲得。



グーリア投手は4シーズン連続で70試合以上に登板した鉄腕。ライアンは好守で有名です。何より驚いたのはヤンキースのプライアー獲得(写真)。02年にカブスでデビューし、翌年には18勝を挙げましたがその後はひじの故障に苦しみ、06年以降メジャーのマウンドからは遠ざかっていました。今季は独立リーグでプレーし、22イニングで44個の三振を奪うなど復活の兆しを見せました。01年のドラフトではジョー・マウアー(ツインズ)に次ぐ全米2位で指名されただけに、奮起が期待されます。

2010年12月16日木曜日

今季ユニフォームを脱いだ選手たち2010②

3、フランク・トーマス(ホワイトソックス~アスレチックス~ブルージェイズ~アスレチックス)



ホワイトソックス史上最高の選手であり、90年代最強打者の一人。89年にドラフト1位でホワイトソックスに指名され入団。90年にデビューを果たすと翌年には早くも3割30本100打点を記録。OPSも10割を超えるなど早くもスーパースターの仲間入りを果たします。93年、94年にはMVPを獲得。特に94年はストによる短縮シーズンであったにもかかわらず38本塁打、101打点、OPSは1・216という驚異的な数字を残しました。その後もホワイトソックスの主軸として活躍します。トーマスといえば、スラッガーのイメージが先行しがちですが、97年には首位打者を獲得するなど通算打率も3割を超えてます。また、選球眼の鋭さは特筆すべきものがあり、シーズン100四球以上を10回記録しています。



しかし01年にけがをして以来、徐々に衰えを見せるようになります。チームが88年ぶりの世界一に輝いた05年もわずか34試合の出場にとどまり、オフに16年間在籍したホワイトソックスを去ります。その後なかなか移籍先が決らないでいましたが、スプリングトレーニング直前にアスレチックスと契約。1年でわずか50万ドルと前年比では95%のダウンという屈辱的な内容でしたが、現役続行を熱望していた彼はそのまま入団します。すると、開幕戦でいきなり本塁打を放つなど39本塁打、114打点と完全復活。チームの地区優勝に貢献します。その年のオフにはブルージェイズと2年1800万ドルで契約。貧打に泣いたチームの中で26本塁打、95打点と気を吐きました。しかし、翌08年は開幕から大不振。わずか16試合に出ただけで解雇されてしまいます。その後、アスレチックスと契約しますが2年前のような活躍を見せることはできず、8月にふたたび解雇されてしまいました。09年はどこにも所属することなくシーズンを終え、今年2月に正式に引退を表明しました。8月にはセレモニーが行われ、ホワイトソックス時代の背番号34は球団の永久欠番となる予定です。

通算成績:http://www.baseball-reference.com/players/t/thomafr04.shtml


4、ケン・グリフィー.Jr(マリナーズ~レッズ~ホワイトソックス~マリナーズ)



シアトル最高の英雄であり。90年代最強打者の一人。華麗なスイングから放たれるアーチは多くのふぁんを魅了しました。父シニアは70年代に猛威をふるったビッグ・レッド・マシンの一員として活躍した選手。通算2143安打を放った巧打者でした。87年にドラフト1位でマリナーズに入団。89年に若干19歳デビューすると16本塁打を記録。父シニアがマリナーズに移籍してきた翌年には史上初めて、親子での2者連続本塁打を記録します。その後も安定して3割20本塁打を記録していましたが93年に45本塁打を放ちブレイク。7月には8試合連続本塁打のメジャー記録を樹立しました。翌年にはリーグトップの40本塁打を記録し名実ともにスター選手の仲間入りを果たします。97年には4月にメジャー新記録の13本塁打など56本塁打と爆発。チームの地区優勝に貢献しMVPに選出されます。翌98年も56本塁打、146打点を記録。メジャー史上3人目となるシーズン50本塁打、20盗塁を記録。また同じく史上3度目の3年連続140打点以上を記録しました。グリフィーはいわゆる5ツールプレーヤーとして知られ、打撃だけでなく守備でもゴールドグラブ賞を10回受賞するなど最高レベルにありました。また、当時メジャーに蔓延していたステロイドとも全くの無縁であり、暴露本で有名となったホセ・カンセコでさえも「奴はクリーンな選手だ」と言った程でした。それは上述のフランク・トーマスも同様です。


マリナーズの顔として活躍していたグリフィーでしたが、99年オフに実家シンシナティを本拠とするレッズへの移籍を希望。いろいろゴタゴタがありましたが、トレードでレッズ入りを果たします。移籍初年度から40本塁打を放つなど活躍。この年の4月には当時最年少(現在はA・ロッドが更新)で通算400本塁打を達成しました。しかし、よく01年は開幕から出遅れ111試合の出場にとどまり、以後02年から3年連続で100試合未満の出場に終わるなどけがに悩まされました。05年には35本塁打を放ちカムバック賞に選ばれますが、翌年もけがで離脱。07年にようやく01年以来となる140試合以上の出場を果たし30本塁打を放ちます。この年の交流戦では古巣マリナーズとの対決が実現。試合前にはセレモニーが用意されるなど大歓迎を受けました。グリフィー自身も第3戦で2本塁打を放ち、ファンの期待にこたえています。契約最終年となった08年はチームの若返り政策の一環でシーズン途中にホワイトソックスに移籍。9月には歴代単独5位となる通算610本塁打を記録。ツインズとのワンゲーム・プレーオフでは好返球でランナーを本塁で刺すなど、チームの地区優勝に貢献しました。そしてオフには古巣での現役引退を望んでマリナーズに復帰。けがなどの影響も有りかつて守備力はなく、指名打者での出場が中心でしたが19本塁打を放ちます。しかし、よく10年は開幕から大不振、さらに試合中に居眠りしていたことが報道されという災難にあいます。結局この年の6月に引退を表明。チーム史上最高の選手にとってはあまりにも悲しい幕切れとなってしまいました。イチローの「グリフィーが傷ついて去っていったのがつらかった」という言葉が印象的です。しかし、シアトル市民にとってグリフィーはかつてのエドガー・マルティネスとともに英雄です。また、ステロイドを使っていなかったことも考えると、90年代最強打者はこのグリフィーだと言って間違いないでしょう。

通算成績:http://www.baseball-reference.com/players/g/griffke02.shtml

2010年12月15日水曜日

セイバーメトリクス入門⑥

9、RC(Runs Created)

これも打者の攻撃能力を表す指標。出塁能力や長打力でなく、盗塁などの進塁能力も加味した総合的な攻撃指標です。計算方法についてはさまざまのものがありましたが現在では下記のようになっています。

A(=出塁能力):安打+四死球-盗塁死-併殺打
B(=進塁能力):塁打+0・26×四死球+0・53×犠打飛+0・64×盗塁-0・03×三振
C(=出場機会):打席数
※塁打=安打×1+二塁打×1+三塁打×2+本塁打×3

RC={(A+2・4×C)×(B+3×C)}÷(9×C)-0・9×C


非常に複雑な計算方法です。RCはOPSにはなかった走塁能力も考慮したため、一番打者やスラッガーといった全く異なるタイプの打者同士でも同じように比較できるようになりました。しかし、打席数の多い選手ほど数値が大きくなってしまう傾向があるのでより正確な下記の指標も考案されています。


10、RC27

算出方法:(27×RC)÷(打数ー安打+犠打飛+盗塁死+併殺打)

これはRCを基準としてある特定の選手一人で打線が構成されていた場合、一試合で何点とれるのかを表した数値です。6以上あれば合格点。9を超えるようだと超優秀となります。ちなみに今年のNPBトップは中日の和田選手の9・94でした。メジャーでは、アMVPのハミルトンが10・3、ナMVPのボット―が9・9という数字を残しています。また、他の選手ではカーディナルスのプホルスが8・7(これでもキャリアワースト2位)、ロッキーズのゴンザレスが8・5、タイガースのカブレラは9・5という成績でした。プホルスはキャリア通算で9・8ですから、いかに彼がすごい打者かというのが良くわかります。日本人選手では、イチローが5・7という成績を残しています。キャリア通算は6・5ですから、パワーがない割にはかなりの数字だと思います。ちなみにメジャー記録は2004年にバリー・ボンズが記録した22・0.ステロイドの力が立ったとは言え、すごい数字です。かつての名声は完全に地に落ちてしまったボンズですが、ステロイドがなくても殿堂入りできるくらいの成績を残せていたはずです。それだけに、残念なことですね。

2010年12月14日火曜日

金よりもチームを選んだ男

今オフ最大の目玉選手であったクリフ・リー投手の移籍先が決定しました。



行先は噂のあったヤンキースでもレンジャーズでもなく、何とフィリーズ。まったく動きがを見せていなかっただけに驚きです。リーは09年シーズン途中にインディアンスからフィリーズに移籍した経験も有りますが、オフにトレードでマリナーズへ移籍していました。ロイ・ハラデ―獲得の煽りを受けたわけです。しかし、当の本人は「ハラデ―とプレーしたかった」とぼやいていたらしく、フィリーズ復帰はその夢を実現するためだった模様。ヤンキースの7年1億4800万ドル、レンジャーズの8年1億6000万ドルを蹴り、年数も総額も少ないフィリーズの5年1億2000万ドルを選んだわけですから、彼の意志はかなり堅いものだったということが見て取れます。リー加入により来季のフィリーズの先発投手陣の顔ぶれはこんな感じでになります。



1番手、ロイ・ハラデ―   21勝 防御率2・44 奪三振219 投球回250回2/3
2番手、ロイ・オズワルト  13勝 防御率2・76 奪三振193 投球回211回2/3
3番手、クリフ・リー     12勝 防御率3・18 奪三振185 投球回212回1/3
4番手、コール・ハメルズ  12勝 防御率3・06 奪三振185 投球回208回2/3


恐ろしい顔ぶれです。リリーフはいらないんじゃないでしょうか(笑)。これに加え、野手陣にはチェイス・アトリーやライアン・ハワードら名だたる打者がいるのでフィリーズは来季の世界一の筆頭候補といえるでしょう。一体年間何勝するのか今から楽しみです。

2010年12月13日月曜日

今季ユニフォームを脱いだ選手たち2010①

新人豊作の年と言われた2010年のメジャーリーグでしたが逆に多くの選手たちが引退を決意しました。そんな今季ユニフォームを脱いだ選手たちをピックアップしていきたいと思います。

1、ブライアン・ジャイルズ(インディアンズ~パイレーツ~パドレス)



抜群の選球眼とパンチあふれる打撃で活躍した外野手。プロ入りはインディアンスでしたが当時スター選手であったケニ―・ロフトンやマニー・ラミレスら牙城を崩すことができず、レギュラーにはなれませんでした。しかし、98年オフにパイレーツに移籍すると状況は一変。移籍初年度の99年にいきなり39本塁打を放ち、一躍トップ選手になりました。その後、2002年まで4年連続で35本塁打以上を記録しました。中でも02年はともにバリー・ボンズに次ぐリーグ2位の出塁率4割5分、長打率6割2分2厘を記録。同年ベストセラーになった「マネー・ボール」でも取り上げられました。長打力もさることながら彼のもう一つの魅力は選球眼。パイレーツ在籍時代の00年と02年には100個以上の四球を選ぶ一方で毎年三振を70個前後にとどめるなど非常にいやらしい打者でもありました。03年途中にパドレスに移籍してからも活躍。広いぺトコ・パークを本拠にしているため本塁打は20本ほどまで減りましたが、選球眼は健在で05年にはリーグ最多の119四球(64三振)を選びチームの地区優勝に大きく貢献しました。しかし、09年シーズンは右ひざのけがに苦しみ打率1割台と低迷。今季はドジャーズのキャンプに招待選手として参加しましたがけがの回復具合がおもわしくなく、引退となりました。今後しばらくは家族との時間を大切にしたいとのことです。

2、ジェフ・ジェンキンス(ブルワーズ~フィリーズ)



弱小ブルワーズを引っ張った左の大砲。南カリフォルニア大時代にマーク・マグワイアの持っていた大学通算本塁打記録を塗り替え、95年ドラフト1位でブルワーズに入団。98年に昇格すると99年から2年続けて9割以上のOPSを記録。99年には自己最多の34本塁打を放ちます。しかし、その後はけがなども有り、満足のいく成績を収められないシーズンが続きます。さらに、選球眼が悪かったため毎年三振王の常連になるなどし、放出の噂もささやかれ始めます。しかし、まじめな練習態度やリーダーシップなどといった面で評価が高く、若手の指南役としてチームをまとめます。ファンにも愛され、チームの顔であったジェンキンスでしたが07年オフにチームからオプションを破棄され、退団。翌シーズンはフィリーズでプレーしましたが、9本塁打に終わるなど低迷。しかし、ミルウォーキーでの試合でファンから盛大なスタンディング・オベーションを受けたり、自己初の世界一を経験したりと、思い出深いシーズンにもなりました。しかし、翌年のキャンプでチームから解雇。その後もメジャー復帰を目指してトレーニングを重ねましたが、結局7月9日に引退を発表。古巣ブルワーズと一日契約を結び、ブルワーズの選手としてユニフォームを脱ぎました。当初の期待からすると、決して満足のいく現役生活を送れたわけではありませんでしたが、ブルワーズで放った212本塁打は球団2位の記録。ファンに愛された現役生活でした。

2010年12月12日日曜日

セイバーメトリクス入門⑤

7、IsoD(Isolated Discipline)
算出方法:出塁率―打率

算出方法からわかるように、四死球によりどれくらい出塁したかを測る指標です。数値が高い選手は選球眼が良く、打ち取りづらい打者だとされます。一方低い選手には、本当に選球眼が悪い選手と、イチローのように早打ちタイプの打者とが含まれるので注意が必要です。これに並行して、P/PA(一打席あたりに投手に投げさせた球数)も重視されます。この2つの指標を用いることで打者の選球能力の有無を調べることができるわけです。日本プロ野球でこの指標の数値が大きい選手としては東京ヤクルトのアーロン・ガイエル選手があげられます。彼は今季までの4年間の通算打率は2割3分6厘にすぎませんが、出塁率は3割5分9厘。IsoPは1割2分3厘です。彼の場合、死球が異常に多い(4年間で65個)というのも有りますが、それを除いても非常に高い数値です。アレックス・カブレラやタフィー・ローズといった選手とは圧倒的に迫力が劣るにもかかわらず彼らよりも高い数値を叩き出しているガイエルは、かなり優秀な打者だと言えるでしょう。


8、IsoP(Isolated Power)
算出方法:長打率ー打率

純粋な長打力を測るために考え出された指標がこのIsoP。元来、長打力を示す指標として長打率が知られていましたが、この指標は単打などによっても数値が上がってしまいます。そのため、最近ではIsoPがしばしば用いられます。今季の日米のプロ野球でこの数値が最も大きかったのが西武の中村選手。今シーズンは故障なども有り、打率2割3分4厘と低迷しましたが長打率は5割3分9厘。IsoPは3割にも上ります。今季71安打中25本が本塁打だったように、いかに中村選手が長打力があるかが分かります。万全であれば、日本人では2002年の松井秀喜以来となる50本塁打も夢ではないでしょう。逆に、最も低いのがクリーブランド・インディアンスに所属したマーク・グラジラネック選手。今季は打率2割7分3厘でしたが、長打率も2割7分3厘。今季はなった30本のヒットがすべてシングルだったためです。メジャーの歴史をみても、年間100打席以上に立って一本も長打を打たなかった選手は非常に珍しいようです。

2010年12月11日土曜日

ここ数日の動き

ここ2~3日の移籍市場のまとめです。また大きな動きがありました。

○レッドソックス、カール・クロフォード外野手を7年1億4200万ドルで獲得



今オフ最大の目玉だったクロフォードもワースに続いて超高額契約を勝ち取りました。レッドソックスでは2000年のマニー・ラミレスの8年1億6000万ドルに次ぐ高額契約とあって期待の高さがうかがえます。これで、先日のエイドリアン・ゴンザレスに続き目玉選手の獲得に成功したレッドソックスは今オフ最大の勝ち組といえるでしょう。来季が楽しみです。

○ホワイトソックス、ポール・コネルコ一塁手と3年3750万ドルで契約延長



流出が危ぶまれていたコネルコでしたが、無事再契約を果たしました。過去2年は低迷し、衰えが指摘されていましたが今季は3割39本塁打と大爆発。限界説を払しょくしました。コネルコはホワイトソックス一筋12年と、今どき珍しいフランチャイズプレーヤーなので是非ともホワイトソックスでキャリアを全うしてもらいたいです。先日にはアダム・ダンの獲得にも成功しているホワイトソックス。今季不調だった投手陣が持ち直せば、地区優勝は堅いでしょう。

○カブス、カルロス・ペーニャ一塁手と1年1000万ドルで合意



シーズン途中に正一塁手デレク・リーを放出したカブス。今オフはアダム・ダン選手の獲得を狙っていたようですが同じくシカゴに本拠を置くホワイトソックスに獲られてしまったため、その代わりにおペーニャを獲得しました。2009年にはア・リーグトップの39本塁打を放ったペーニャですが今季は打率が2割を切るなど低迷。しかし、それでも28本塁打を放つなどパワーはあり狭いリグレー・フィールドには十分対応できる筈。守備もゴールドグラブ賞を獲得するなど堅く、いい戦力になると思います。

○マリナーズ、ジャック・カスト指名打者とミゲル・オリーボ捕手を獲得

今季歴史的貧打に泣かされたマリナーズですが、主軸打者の獲得にはひとまず成功しました。カストは2008年に33本塁打、リーグトップの111四球を選んだいわゆるアダム・ダンタイプの打者。広いセーフコ・フィールドに対応できるかは心配ですが誰も獲らないよりかはましでしょう。これで、ゴジラ松井のマリナーズ入りはなくなったといえます。オリーボも2009年に23本塁打、今季も14本塁打を放つなどパンチ力ある打撃が魅力。肩も強く、今季捕手陣にろくな選手がいなかったマリナーズにとっては大きな補強といえます。


○パイレーツ、先発投手を2名補強

18年連続負け越し中の古豪パイレーツ。なかでも投手陣は悲惨で「投手の年」と言われた今季でさえメジャー唯一のチーム防御率5点台。特に先発陣はひどかったため今回のほきょうとなったわけです。しかし、獲得したケビン・コレイア(パドレス)、スコット・オルセン(ナショナルズ)はともに今季防御率5点台と低迷。もう少しましなのを獲れよとも思いますがこういう投手にも頼らざるを得ないのが現状でしょう。来季も厳しいシーズンになりそうです。

○オリオールズ、上原と再契約

動向が注目されていた上原投手でしたが、結局はオリオールズと1年300万ドルで再契約となりました。本人は複数年契約を望んでいましたが、オリオールズ側は彼の年齢を気にしたよう。ただ、もう1年延長するという噂もあり今後も注目されます。

○レッズ、ジェイ・ブルース外野手と6年の契約延長



レッズといえばMVPのボット―が有名ですが23歳のこの選手もスター候補生。デビュー以来3年続けて20本塁打を放ったほか守備も高いレベルを誇ります。契約内容は6年5100万ドル。しかも、ノ―トレード条項を含んでおり、今後レッズが彼を中心としたチーム作りを目指していることは明らかです。70年代のようなチームになれるかは彼にかかっているといえます。

○ウィギントン、ロッキーズと契約

チームの宝であるトッド・ヘルトン一塁手に衰えが見え始め、二塁・三塁のポジションが固定されていないロッキーズにとって、内野ならどこでも守れるウィギントンは大きな戦力となりそう。ロッキーズは前マリナーズのホセ・ロペス内野手がいますが今季は大不振だったためにレギュラーは確約されておらず、彼と競わせることになりそうです。毎年コンスタントに20本塁打以上放っているので、打者天国コロラドでは30本くらい打てるかもしれません。

○ロイヤルズ、外野手2人を獲得

シーズン途中のホセ・ギーエン外野手に加えオフにアベレージ・ヒッターのデービット・デーへイスース外野手を放出していたロイヤルズ。外野手の補強は急務でした。ジェフ・フランコーア選手は今季レンジャーズの一員としてワールドシリーズに出場しましたが、打撃の方は2割4分9厘、13本塁打低調。長打力はありますが大振りが目立つためいまいち伸び悩んでいます。しかし、打線強化を狙うロイヤルズにとっては戦力となりそうです。メルキ―・カブレラ選手は今季ブレーブスに所属していましたが、打率2割5分5厘、4本塁打とこちらも低調。慣れないナ・リーグに苦しみました。まだ26歳と若いうえ、あのヤンキースでレギュラーだったわけですから是非ともア・リーグで復活してほしいものです。

○パドレス、ジェイソン・バートレット遊撃手をトレードで獲得

昨季は3割2分、14本塁打と好調でしたが今季は一転して不振。ただ守備力はメジャートップクラスなのでディフェンスを重視するパドレスには最適の選手です。レイズは見返りに若手投手2人を獲得しています。

○オリオールズ、トレードでツインズからJ・J・ハーディー遊撃手を獲得

今季ショートのレギュラーとして戦ったハーディーですが打撃は2割6分8厘、6本塁打と低調。しかし、ブルワーズ時代の2007年には26本塁打、翌年には24本塁打放っており遊撃手としてはトップクラスの打撃力を誇ります。オリオールズは今季正遊撃手だったシザー・イズタリス選手が規定打席到達者としては最悪のOPS5割4分5厘を記録するなど貧打に苦しんだため、大きな補強です。また、ツインズはブレンダン・ハリス内野手も放出しており、西岡選手への受け入れ態勢は盤石なものとなっているようです。

2010年12月9日木曜日

セイバーメトリクス入門④

第4弾です。今回は選手個人ではなくチーム全体の成績に関する指標を紹介。


6、ピタゴラス勝率
算出方法:(総得点の2乗)÷(総得点の2乗+総失点の2乗)



これはチームの得点数と失点数から、そのチームが年間何勝できるかを予測する指標です。野球は得点を多く上げた方が勝利するスポーツですから、失点よりも得点の方が多いチームほど多くの勝利を上げられるはずです。そんな得点と失点の数こそが、そのチームの真の実力を反映しているのである、という考えから生まれたのです。正式には、1・83乗するそうですが2乗にしても大差はないです。一見すると、かなりあてずっぽうな指標に思えますがこれが意外に正確。たとえば、今シーズンのア・リーグ東地区を例に挙げてみましょう。

総得点 総失点 ピタゴラス勝率(勝利数) 実際の勝率(勝利数)
TBD  802  649   .604(98)        .593(96)
NYY  859  693   .606(98)        .586(95)
BOS  818  744   .547(89)        .549(89)
TOR  755  728   .518(84)        .525(85)
BAL  613  785   .379(61)        .407(66)

完全に正確とまではいきませんが、かなり近い数字が出ています。ピタゴラス勝率による勝利数と実際の勝利数との差が±3くらいであれば、そのチームは真の実力通りの成績を残したといえます。誤差はある程度出てしまいますが、何度も計算していると得失点差と勝率との相関関係がかなり強いことが分かるはずです。しかし、チームによっては実際の勝率とピタゴラス勝率の差がかなり開いてしまうことも有ります。今年のヒューストン・アストロズを例に挙げてみましょう。

総得点  総失点 ピタゴラス勝率(勝利数) 実際の勝率(勝利数)
HOU  611   729   .413(67)        .469(76)

このように、勝利数にして9もの差が出てきています。このような場合には2つの可能性が考えられます。1つはただ単に運が良かっただけということ。接戦はものにしますが負ける時は派手に負けるというようなチームは安定感に欠けます。つまり、実力以上の結果が出てしまっているので翌年は成績が悪化してしまう可能性があります。もう1つは監督の力量が素晴らしかったということ。アストロズの場合、今季指揮を執ったミルズ監督は監督としてはルーキー。今季の出来はフロックであったのかどうかは、来季わかります。このように、ピタゴラス勝率は監督の能力を測る指標にもなりえるのです。




最後に興味深い資料を一つ。今季のパ・リーグ各チームのピタゴラス勝率を計算してみるとこのようになりました。


総得点 総失点 ピタゴラス勝率 実際の勝率
ソフトバンク  638   615  .518      .547
西武      680   642  .529      .545
千葉ロッテ  708   635  .554      .528
日本ハム   612   548  .555      .525
オリックス   644   628  .513      .493
東北楽天   576   635  .451      .440

面白いことに、Bクラスの日本ハムが1位。優勝したソフトバンクは4位にすぎません。3位から日本一になったことであれこれ言われているロッテですが、ピタゴラス勝率はソフトバンクや西武よりも上。これを見るとプレーオフの結果は妥当といえるかもしれません。逆に言うと、新人監督である西村監督は、もっとも優勝にふさわしい数字を残していたにも関わらずできなかった。すなわち、監督としての力量が未熟であったともいえるでしょう。

2010年12月7日火曜日

今日の動き

昨日はジェイソン・ワースの大型契約というビッグニュースがありましたが、今日も大きな動きがいくつかありましたのでまとめてみました。


○レッドソックス、サンディエゴ・パドレスからトレードでエイドリアン・ゴンザレス一塁手を獲得



数年前からトレードのうわさが絶えなかった28歳のゴンザレスですがついに移籍。今季途中にも移籍の話がありましたがチームの予想外の快進撃により破談となっていました。サンディエゴ出身であっただけにパドレスにとっては苦渋の選択であったと思いますが、彼は来年FA。現役屈指のスラッガーであるだけに、契約内容は破格のものになるのは明らか。到底パドレスが払えるものではありません。ですから、今季の快進撃に惑わされず、自らの意思を貫いたホイヤーGMは正しい決断をしたのではないかと思います。




さてさて、ゴンザレスの特徴は長打力。通算本塁打は168本とそれほどではありませんがパドレスで放った161本のうちアウェーでのものが104本。これは投手に圧倒的有利のぺトコ・パークを本拠地にしていたためです。しかも・アウェーでの打率も3割を超えており、本来の力は成績以上だということが分かります。来季からのホームとなるフェンウェイ・パークは左打者に非常に有利なことで知られていますので50本近い本塁打を打つことも期待できそうです。また、守備もメジャー屈指であるためディフェンス力を重視する近年のレッドソックスにはもってこいの選手だといえます。ちなみに、今季巨人に在籍したエドガーは実の兄です。



○オリオールズ、トレードでダイヤモンドバックスからマーク・レイノルズ内野手を獲得



これも今日の大きな動きの一つ。オリオールズにはジョシュ・ベルという若手の三塁手がいますがまだレギュラーというには厳しい状況。レイノルズを獲得したのは彼が独り立ちするまでの「つなぎ役」とするためでしょう。レイノルズは長所と短所が非常にはっきりしている選手。3年連続で28本塁打以上を放ち、2009年には44本塁打を記録したようにパワーのある選手ですが三振も2年連続200以上と非常に粗いことでも有名です(メジャーの歴史で200三振以上喫したのは彼だけ)。しかし、今季のオリオールズは得点がリーグワースト2位と貧打に苦しんだため、打線強化には大きな補強となったと思います。打率も低く、年棒もそれほど上がらなさそうなのでベルが独り立ちした後も打線の核として長く保持できるかもしれません。




○ブルワーズ、ブルージェイズよりトレードでショーン・マーカム選手を獲得





P・フィルダ―やR・ブラウン、C・ハートなどメジャー屈指の強打者をそろえるブルワーズですが投手陣はコマ不足。特に先発陣の補強は急務だっただけに今季13勝、防御率3・64のマーカムの加入は大きいはず。ただ、2009年は肩の故障で全休したいるためその再発が心配されます。



○ダイヤモンドバックス、J・J・プッツ投手と2年契約



今季、救援防御率が5・74(!)とブルペン陣が大炎上だったDーBACKs。それだけにメジャー8年間で5度50試合登板を果たしているプッツの獲得は大きいです。今季も防御率2点台と安定しており、マリナーズ時代と同様、クローザーとしての起用が期待されます。



今日だけでこれだけの動きがありました。明日以降も期待大です。

2010年12月6日月曜日

まさかの金額、まさかの移籍先

今日、多くのメジャーリーグファンが驚いたであろうニュースが飛び込んできました。今オフの目玉外野手、ジェイソン・ワース選手がナショナルズと7年契約を結んだというのです。



まず驚くのが移籍先がナショナルズであること。今年まで在籍したフィリーズはナショナルリーグ東地区4連覇中ですが、対照的にナショナルズは4年連続最下位で08、09年には100敗を喫するなど完全なる弱小球団。オフには大砲のアダム・ダンを放出し本格的に再建モード突入かと思われた矢先のことだけに、この大型契約はおおいに疑問です。




さらに驚くのはその契約内容。7年で何と総額1億2600万ドルというのだからびっくりです。ワースは今でこそ球界屈指の外野手ですが、ブレイクしたのはここ2,3年のことですからどう考えても払いすぎのように思います。それに年齢も来年で32歳。契約が終わるころには38歳ですから、契約を全うできるかさえも怪しく、不良債権化してしまう可能性も十分にあり得ます。




さらに、この契約は他の大物選手に影響を与えそう。ワースでこれだけの契約を勝ち取れるのであれば、投打の目玉選手であるカール・クロフォード外野手やクリフ・リー投手の契約がどれくらいのものになるかは想像もつきません。この契約をうけて、この2人が大胆に動いてくることは間違いなさそうです。とりあえず、リーのレンジャーズ残留の可能性はほぼなくなったとみるべきでしょう。




大物ぞろいのFA市場、これからどんな動きが見られるか目が離せません。

2010年12月5日日曜日

国旗・国歌から国を知る ~イタリア編~

今回はイタリア。まずは国旗から。



皆さんご存知のこの国旗の歴史は古く、1797年に北イタリアの小国家(ナポレオン帝国の衛星国)であったチスパナーダ共和国において採用されたものがその始まりです。しかし、当時は今と違って横向きでした。(下図)



今のような国旗が定着し始めたのは19世紀半ばのイタリア統一運動(リソルジメント)のころでした。そして、1861年イタリア王国が成立すると三色旗(トリコロール)は正式な国旗として採用されました(下図)。




戦後、中央部の紋章が外され、今に至るわけです。このように、イタリア国旗はイタリアの民族意識の高揚に大いに役立ったということが分かります。



続いては国歌。




この国家は「マーメリの讃歌」と呼ばれ、1946年に使われ始めました(法制化されたのは2005年)。歌詞は以下の通りです(一番のみ)。


イタリアの兄弟よ、イタリアは今目覚めた。
スキピオの兜を頭に載き
勝利は何処にあらん
主が創りたもうたローマの僕
わがイタリア、その美しい髪を捧げよ
さあ、隊列を組め、我等は死をも恐れぬ
イタリアが呼んでいる、そうだ!




このように古代ローマの伝説なども歌詞に反映されていますが、一部ではこの内容を殉国的・ファシズム的だとみなし、歌唱・演奏を拒否する人もいるそうです。しかし、サッカーの国際試合では、観客・選手全員で大合唱されるのが定番となっており、国民への浸透度は高いことが分かります。

2010年12月4日土曜日

セイバーメトリクス入門③

第三弾です。今日は守備に関する指標を紹介。


4、プラス・マイナス・システム

守備能力の有無を示す指標として、失策・守備率というものがあります。しかし、失策はあくまで記録員の主観によって決められるものでありあまりあてになるものではありません。また、打球に触れなければ失策は記録されないので、難しい打球も果敢に取りに行くような積極的な守備をする選手には不利です。むしろ、重要なのは守備範囲といった要素です。そこで考え出されたのがプラス・マイナス・システムです。算出方法の手順はコチラ。

1、フィールドを数百のエリアに分け、あるエリアに飛んだ打球を野手はどれくらい処理できるか、とい   う平均処理率を算出する。
2、ある選手が処理できた打球は、1から平均処理率を引きそれを得点とする。
(平均処理率を0・8とすると、得点は0・2となる。)
3、処理できなかった打球は、平均処理率をそのまま減点する。
(平均処理率を0・8とすると、得点はー0・8となる。)

分かりにくいかもしれませんが、こんな感じです。0が平均的な数値であり、プラスならば平均以上、マイナスなら平均以下です。この指標により、失策が多くても守備範囲の広い選手の方が、失策は少なくとも守備範囲が狭い選手よりも評価されるようになりました。しかし、これには欠点も有ります。まずは、平均処理率を算出することが非常に面倒である点。そして、捕手の守備評価に適さないといった点です。捕手の守備機会の大半は三振時のキャッチングの際に記録されるためです。このため、欠点を解消するために次の指標が考えだされました。



5、守備防御点

大まかな点はプラス・マイナス・システムと変わりませんが、この指標はどれくらい失点を防げたかということに焦点が置かれている点がミソです。手順としては、前年のシーズンのデータ―から状況別の(アウト数・ランナーの数)得点期待値を算出します。そして、その状況下で野手がきちんと打球を処理できたかにより、守備防御点が変動します。分かりやすく説明しますと、ノーアウト1塁・ワンアウト1塁・ノーアウト1・2塁での得点期待値をそれぞれ、0・5、0・3、0・7とします。ノーアウト1塁において、野手が自分の守備エリアにとんだ打球を処理できた場合、得点期待値は0・5から0・3に減りますので、その選手はそのプレーにおいて0・2点を阻止したことになります。ですから、その選手の守備防御点は0・2となります。逆に処理できなかった場合、得点期待値は0・5から0・7に上がるため、その選手はそのプレーにおいて0・2点余計に相手に与えたことになります。ですから、その選手の守備防御点はー0・2となります。こうしたひとつひとつのプレーを積み重ねて、シーズンの守備防御点を算出します。この指標は捕手の守備能力も図れるうえ、プラス・マイナス・システムでは評価できない肩の強さ(補殺など)などの能力も反映できるというのが最大の利点です。




分かりにくかったかもしれませんが今回は以上です。次回からはもっと込み入った指標を紹介します。

ここまでの移籍市場のまとめ

今のところの各球団の動きのまとめです。


○フロリダ・マーリンズ
FAのジョン・バック捕手、ハビア―・バスケス投手を獲得。アグラ選手の見返りとしてブレーブスからオマ―・インファンテ内野手を獲得。

マーリンズは正捕手候補のポウリーノが薬物違反で開幕から出場停止。捕手の獲得が急務ですが、まさかの目玉選手獲得となりました。バスケス投手は今季不振でしたが、プレッシャーの少ない環境で投げるので復活してくれるのではないでしょうか。何より、イニングを稼いでくれるのでブルペンの薄いマーリンズにとっては大きな戦力となりそうです。インファンテは今季打率リーグ3位という成績。内野の複数ポジションがこなせる選手です。いずれにせよ、あのドケチ球団がまさかの大型補強。来季は本気で世界一を狙っているようにも思います。

○コロラド・ロッキーズ
トロイ・トロウィツキ内野手と7年契約延長。マリナーズからトレードでホセ・ロペス内野手を獲得。

トロウィツキは2008年に6年契約を結んでいましたが、今回の決定で2020年までの契約絵院庁が決まりました。2020年までの契約の総額は1億5775万ドルとなり、チーム史上最高額の契約となります。このとんでもない契約は球団にとっては大きな賭けでしょう。このクラスの大型契約はあまり成功例がないので、うまくいくことを願っています。ロペス選手は今季はあまりにも悪すぎた、といった印象です。打者天国コロラドですし2009年の25本塁打レベルまでとはいかないまでも復活はしてくれるでしょう。3塁守備も非常に堅実なので、今季固定できなかったサードのレギュラーは確実でしょう。


○サンフランシスコ・ジャイアンツ
パット・バール外野手、オーブリ・ハフ内野手と再契約。ミゲル・テハ―ダ内野手を1年650万ドルで獲得。

若い投手力で世界一に輝いたジャイアンツでしたが、打者陣は相変わらずベテラン頼み。テハーダは退団したレンテリア選手やウリ―べ選手の後釜といった感じですが、どう考えても選手としては黄昏時。1年契約は妥当なところでしょう。


○シカゴ・ホワイトソックス
アレクセイ・ラミレス遊撃手の2011年オプションを行使(275万ドル)。アダム・ダン内野手と合意。4年5600万ドル。

ラミレスは今季シルバースラッガー賞に輝くなど打撃での貢献が目立ちました。守備もまずまずなのでこの契約はかなりお買い得でしょう。ダンは当初はナショナルズ残留を熱望していたようですが、2年契約しか提示されなかったために結局移籍となりました。ホワイトソックスの本拠地は本塁打が出やすいので、、タイトルも期待できそうです。


○アトランタ・ブレーブス
マーリンズからダン・アグラ二塁手をトレードで獲得。エリック・ヒンスキー外野手と再契約。

アグラはメジャー史上初めて4年連続30発を記録するなど長打力が魅力の選手。打点も3年連続で100を超え、パワー不足のチームにとっては大きな補強です。ヒンスキーは第4の外野手として、故障者&不振者続出の外野陣を支えました。勝負強いうえ、プレーオフにも4年連続で出場し、2007年から2009年までは3年連続でワールドシリーズに出場するなど運の強い選手でもあります。


○その他の球団
レンジャーズ:ヨービット・トレアルバ捕手を2年625万ドルで獲得。
ドジャース:ホアン・ウリ―べ内野手を3年2100万ドルで獲得。
エンゼルス:高橋尚成投手を2年契約で獲得。
タイガース:ビクター・マルチネス捕手を4年5000万ドルで獲得。



こんな感じです。これからも、情報が入ってき次第、書いていこうと思います。

2010年12月3日金曜日

国旗・国歌から国を知る ~ロシア編~

今回は2018年FIFAワールドカップの開催が決まったロシアです。まずは国旗から。



歴史の古い国旗で、17世紀にピョートル1世が当時の覇権国であったオランダの国旗をまねて作ったという伝説も有ります。白は高貴かつ率直である白ロシア人(ベラルーシ人)を、青は名誉と純潔の小ロシア人(ウクライナ人)を、赤は愛と勇気の大ロシア人を表しているそうです。この白・青・赤の3色は「パン・スラブ色」とされ、ロシアのほかにもチェコ・スロバキア・スロベニア・クロアチア・セルビア・旧ユーゴなどのスラブ系の国々の国旗にも採用されています。




続いては国歌。



採用は2001年と比較的新しいですが、実際は旧ソビエト時代の国歌を再び採用したもの。そのため、周辺国からはプーチン大統領(当時)の制作と相まって「覇権国ロシアの復活」などのように受け止められ、とくに旧ソ連の国々からの不信感は強いようです。しかし、曲自体は壮大で広大な領土を誇る同国をよくあらわしているようにも思います。長いですが歌詞の日本語訳はこんな感じです。





1番


ロシア、聖なる我らの国よ
ロシア、愛しき我らの国よ
力強き意思は、大いなる栄光は
汝が持てる物は、如何なる時にも!




コーラス


讃えられて在れ、自由なる我らが祖国よ
幾世の兄弟なる民族の結束よ
父祖より授かった民族の英知よ!
国よ讃えあれて在れ!我等汝を誇らん!




2番


南の海より極地の果てへと
広がりし,我等が森と草原よ
世界に唯一なる汝、真に唯一なる汝
神に守られた祖国の大地よ!
(コーラス)




3番



夢が為生きるが為,遮らぬ自由を
来たるべき時は我等にもたらす
祖国に対する忠誠は我らに力を与える
それはかつて、今も、そして常に在り続けん!
(コーラス)




愛国心あふれる歌詞ですね。



ではでは。

2010年12月2日木曜日

セイバーメトリクス入門②

第二弾です。今回は投手の投球内容を示す指標を紹介。



2、WHIP(Walks plus Hits per Inning Pitched)
算出方法:(被安打+与四球)÷投球回数


これはエラー等をのぞいて1イニングあたりどれくらいの走者を許したかを示す指標です。一般に1・2が平均的な数値とされ、1・4を超えると問題とされます。このWHIPは防御率とともに、投手の安定度を測る重要な指標の一つとなっており、メジャーや台湾プロ野球では公式記録とされています。ちなみに、メジャー記録は2000年にペトロ・マルティネスが記録した0・74(防御率は1・74)。当時はステロイド全盛時代出会ったことも考えるととんでもない記録といえます。またWHIPはショートリリーバー投手に対してとくに重要視されています(ショートリリーバーはイニングの途中で交代することが多く、その時にどのくらいの走者を出していたかによって、チームの勝敗が左右されるため)。一方問題点としては、長打を打たれやすい投手(フライを打たれやすい投手)はWHIPの割には防御率が良くない、荒れ球投手(四球が多く被安打が少ないはWHIPほど悪い成績にはならない、ということなどがあげられます。




3、QS(Quality Start)
内容:先発投手が6イニング以上投げ、かつ自責点を3以下に抑えること


これも、(先発)投手の安定度を示す重要な指標の一つです。近年では、QS率(全先発数に対するQSの割合)が勝利数以上に先発投手の能力を表すものだとされております。その最たる例が今年のアメリカン・リーグのサイ・ヤング賞争い。勝星ではヤンキースのサバシアが21でトップでしたが、賞レースに勝ったのは13勝のヘルナンデス(マリナーズ)。ヘルナンデスがQS率88%(34先発中30回)だったのに対して、サバシアが76%(34先発中26回)だったことが主たる要因です。このQSは日本ではあまりなじみがありませんが、選手の間には浸透しているようで好投しながらも勝運に恵まれなかった先発投手が契約更改で自己アピールのために用いることも少なくないそうです。

国旗・国歌から国を知る ~イスラエル編~

皆さんはあまり意識されないかもしれませんが国旗や国歌はその国の歴史・文化を色濃く反映したものであることが多いです。このブログではそういったものを順次紹介していきたいと思います。




第一回目はイスラエル。ご存知の通り、深刻な領土問題を抱える国です。まずは国旗はコチラ。



真ん中の星はユダヤ教やユダヤ人の象徴であるダビデの星を表しており、上下の白い帯はユダヤ教徒の男性が宗教行事の時に用いるタッリートと呼ばれる肩にかける布を表現しています。タッリートにはテヘレートと呼ばれる青色の紐が織り込まれており、これを青色の帯が表現しています。




続いては国歌。


チェコの作曲家、ペトルジーハ・スメタナの「モルダウ」に何となく似ている、レクイエム的な旋律の曲です。この国歌には「ハティクヴァ(希望)」という名前が付いており、1897年の第一回シオニズム会議においてシオニズム讃歌として採用されたものが原曲となっています。歌詞をおおざっぱに日本語訳しますと、


心の奥底に秘めた
ユダヤの魂が切望するのは
眼差し向かう東の地 シオン
我らが二千年もの間失わなかった希望は
自由なる民として
シオンの地、そしてエルサレムに
我々の国をつくること
※シオン・・・エルサレム南東にある丘。神の住む丘とされユダヤ教徒の象徴

という感じでしょうか。紀元70年のエルサレム陥落以来、常に苦難の歴史を送り続けているユダヤ人。彼らが本当に安心して暮らせる世の中は来ることがあるのでしょうか。

2010年12月1日水曜日

日米最年長投手の行方

メジャー最年長投手のジェイミー・モイヤ―投手が痛めていた左肘の手術を行うことを発表しました。



1962年生まれのモイヤーは今季フィリーズで9勝9敗、防御率4・84という成績。5月にはメジャー最年長完封記録を更新しましたが、8月以降はひじを痛め離脱。プレーオフでも登板することができませんでした。




受ける手術はいわゆる、トミー・ジョン手術であり復帰でには12カ月かかるとのこと。モイヤー自身も2012年シーズンでの復帰を目指しており、実現すれば50歳での登板が見れるかもしれません。鉄人として知られたフリオ・フランコでさえも50歳を目前にして引退したためこれがいかにすごいことかわかるでしょう。もっとも、フランコは引退したときすでに50歳を超えていた、との説も有りますが・・・・。




最年長投手といえばこの人を忘れてはいけません。1963年生まれの工藤公康選手です。



今季は15年ぶりに古巣西武に復帰しましたが、10試合で防御率10・50という成績に終わりオフに戦力外となりました。今のプロ野球選手の半分以上が生まれる前からプレーし(1982年プロ入り)、バース・掛布・岡田のいた阪神との日本シリーズ(1985年)でも登板するなど、もやま信じられないくらい息の長い活躍を続ける工藤選手。来季も現役を続けられれば実働30年となるので、ここまで来たら何としても現役続行してほしいです。

2010年11月30日火曜日

セイバーメトリクス入門①

私が野球関連のネタでよく使っている、OPS、WHIP、守備防御点などの指標。これは2000年以降注目されるようになった、「セイバーメトリクス」という理論に基づく指標です。今回はこれらの指標について説明していきたいと思います。


1、OPS(on base plus slslugging)
算出方法:出塁率+長打率

セイバーメトリクスにおける打者の指標のうちもっとも基本的なものがこのOPSとよばれるもので、出塁率と長打率を足し合わせることで算出されます。選手の守備位置により異なりますが、一般に7割5分が平均的数値とされ9割を超えていれば一流打者、逆に7割未満ならレギュラーが微妙になってきます。現在のメジャーリーグでは出塁率を非常に重視するようになっています。たとえば打率2割8分、出塁率3割8分の選手は打率3割、出塁率3割5分の選手よりも高く評価されることが多いです。また、長打力があればあるほどチームに得点が入る可能性が高いためOPSはメジャーでは打者の力量を表す数値であるとして広く用いられるようになっています。




一方このOPSには問題も有ります。一つは走塁能力の評価ができないこと。これは算出方法を見れば明らかでしょう。もう一つは数字だけでは打者のタイプが判別しにくいこと。たとえば、出塁率4割・長打率4割の選手も、出塁率3割・長打率5割の選手もOPSはともに8割。これではその選手が「パワーはないが出塁能力にたける選手」であるのか「出塁能力は低いが当たれば大きい選手」であるのかわかりません。




そこで、新たに考えだされたのがNOI(New Offensive Index)という数値。算出方法は(出塁率+長打率÷3)×1000で見ての通り出塁率は長打率より3倍重要とする考えから生まれたものです。この数値を使って、ブルワーズのコリ―・ハート選手とアスレチックスのダリク・バートン選手の成績を比較してみましょう。




まず、ハート選手の今季の成績を見てみると出塁率は3割4分、長打率は5割2分5厘ですので
OPSは8割6分5厘。主砲としては十分な成績です。一方バートン選手は出塁率は3割9分8厘と好成績ですが長打率は4割5厘と低いのでOPSは7割9分8厘にとどまっていしまいます。しかし、両者のNOIを比較すると、ハート選手は515、一方バートン選手は528とバートン選手の方が上です。このことからハート選手が「出塁能力は低いがパワーのある選手」、バートン選手が「パワーレスだが出塁能力が高い選手」ということが分かります。この数値は元々資金難により長距離砲が獲れないアスレチックスが低コストで得点能力を上げる方法を模索していたときに考え出されたものであるので、バートン選手はある意味アスレチックスの象徴的選手といえるでしょう。




これ以外にもメジャーには日本ではなじみのない指標が色々あります。これからもこのブログではこうした指標を取り上げていきますので皆さん楽しみにしといてください。




ではでは。

2010年11月29日月曜日

楽天の大量補強に思う

今日、メジャーから楽天に移籍した松井稼頭男選手の入団会見が行われました。


今季の楽天は同じくメジャー帰りの岩村明憲選手の獲得も発表。また、ポスティングシステムを利用してのメジャー移籍を目指していた岩隈選手も、残留が決定的な状況。ここにきて来季優勝候補に名乗りを上げてきました。




しかし、この補強は楽天にとってプラスになるのでしょうか。確かに、来季の楽天にとってはプラスになるでしょう。しかし、将来的に考えるとこれはむしろマイナスなのではないか?と思ってしまいます。



そもそも楽天が弱い一番の原因は若手が育っていないこと。楽天の生え抜きでレギュラーとなっている選手は嶋捕手と聖澤選手のみ。しかも両者とも今年になって台頭してきた選手です。目先の勝利だけを考え、育成をおろそかにしたせいで崩壊したチームが数年前にありましたよね・・・。




それに、今年の楽天の遊撃手は悪くはなかった。内村賢介選手は規定打席不足ながら3割を打ちましたし、渡辺直人選手もパワーはないながらも優れた選球眼や足で貢献しています。にもかかわらず、完全に晩年に差し掛かっているであろう松井をとるのには疑問符が付きます。岩村だって来季で32才なんだしそう長くは活躍できないはず。シーズン後にノリを解雇したのは若返りの一環じゃなかったんでしょうか?




また、今季のブラウン解任も疑問です。最下位に沈んだことは責任かもしれませんが、たった1年の成績ですべてを評価するのは間違ったやり方。ブラウンだって広島時代は限られた戦力ながらもチームを毎年プレーオフ争いに導いていた。マイナー時代も育成面で評価が高かったようですから、決して悪い監督ではないはずです。それに新たに就任した星野監督は育成が下手。鉄拳制裁もよくやるそうですが、今どきそんなことをやったら選手らの反感を買いかねません。




いずれにせよ、今の楽天は悪い方向に進んでいるようにしか思えません。本当に強い球団になりたいのならば、日本ハムのようにしっかりとした育成システムを作るべきでしょう。

2010年11月28日日曜日

2010年MLBを彩った20人のルーキー④

マイナー今日は新人投手を紹介。



16、ジョナサン・ニース(メッツ・投手・23歳)
今季成績:30試合 9勝10敗 防御率4・20 奪三振148



メジャー3年目、実質1年目で開花した左腕。過去2年間は8試合の登板に終わりましたが今季は開幕からローテに定着。2ケタ勝利こそ逃しましたが、一年間ローテを守り切りました。最大のハイライトは6月10日のパドレス戦。4回にクリス・デノ―フィア選手に二塁打を打たれた以外は1人のランナーも許さない快投を見せメジャー初完封勝利を記録しました。後半戦はコントロールが乱れ、防御率4・81と調子を崩してしまいましたが、来期はサンタナやメインらとともに強力先発陣の一角を握る投手になると思います。



17、マイク・リーク(レッズ・投手・22歳)
今季成績:24試合 8勝4敗 防御率4・23 奪三振91



史上21人目となるマイナーを経ずにメジャーデビューを果たした期待の新星。アリゾナ州立大学では3年間で40勝を挙げるなどし、レッズ入り。開幕からローテに定着し、開幕5連勝を記録しました。後半戦はけがなどで調子を落とし、8月24日の登板を最後にシーズンを終えてしまいましたが、来季も新生レッズの一角として活躍してくれることでしょう。



18、ジョニー・ベンタ―ス(ブレーブス・投手・25歳)
今季成績:79試合 4勝4敗 防御率1・95 奪三振93



新人ながらブレーブスブルペン陣の中心を担った左腕。24ホールドは新人トップの数字で、斎藤隆やビリー・ワグナーらとともに強力救援陣を形成しチームのプレーオフ進出に大きく貢献しました。三振を奪う能力にもたけており、今季は83イニングスを投げて93奪三振。来季からは引退したワグナーの後釜として、クローザーに入る可能性も有りうるでしょう。




19、アロルディス・チャップマン(レッズ・投手・22歳)
今季成績:15試合 2勝2敗 防御率2・03 奪三振19



WBCで日本代表とも対戦したキューバ人左腕。昨年7月に亡命し、念願のメジャーリーガーになりました。魅力は何といっても球速。マイナーにいた8月27日には、米国史上最速となる時速105マイル(時速169km)を記録。31日に満を持してメジャーに昇格しました。昇格後もスライダーと速球を駆使して中継ぎ投手として活躍。13.1回を投げて19をの三振を奪いました。今後は先発投手としてどのような活躍をしてくれるのか非常に楽しみです。




20、スティーブン・ストラスバーグ(ナショナルズ・投手・21歳)
今季成績:12試合 5勝3敗 防御率2・91 奪三振92



2009年ドラフト全米一位でナショナルズに入団した、今季最も注目を集めたルーキー。6月8日のパイレーツ戦でデビューするといきなり7回1失点の好投。奪った三振は14個という素晴らしい内容でした。また、ファンからの注目も大きく、彼が登板した試合では常に4万人以上の観客が詰めかけるなど低迷するチームに明るい話題を提供しました。しかし、8月21日の登板でひじを痛め降板。その後トミー・ジョン手術を受けることになり来季は全休するとみられています。ですが、68イニングで92個の三振を奪うなど、「2、30年に一人の逸材」と評される実力は見せつけました。今はゆっくりひじを直して、2011年にカムバックしてほしいと思います。




ここまで、20人の新人選手を紹介してきましたが、今季は他にもレンジャーズのミッチ・モアランド内野手やパイレーツのホセ・タバタ外野手など多くのルーキーが活躍しました。来季の注目選手を挙げるとするならば、アスレチックスのクリス・カーター選手やブルージェイズのJ・P・アレンシビア捕手などがあげられます。また、今年のドラフト全米1位でナショナルズから指名を受けた18歳のブライス・ハーパー外野手もチームの外野手事情を考えると、メジャーデビューする可能性も十分に期待できます。



来季はどんな新人選手が出てくるのか、今から楽しみでなりません。




ではでは。

2010年MLBを彩った20人のルーキー③

第三弾。




11、スターリン・カストロ(カブス・遊撃手・20歳)
今季成績:125試合 3割 3本塁打 41打点 OPS7割5分5厘



メジャー史上初の1990年代生まれの選手。開幕は2Aで迎えましたが正遊撃手ライアン・テリオの二塁転向に伴い5月に昇格。その月に打率3割1分を記録するなどし弱冠二十歳にしてショートのレギュラーを勝ち取りました。10盗塁を記録するなど脚力もまずまず。将来的には2番打者として定着できれば御の字だと思います。ただ、守備面では27失策と投手陣の足をひっぱてしまったため改善の余地あり。




12、タイラー・コルビン(カブス・外野手・24歳)
今季成績:135試合 2割5分4厘 20本塁打 56打点 OPS8割1分6厘



福留を押しのけてレギュラーに定着した将来の主軸候補。はじめの2か月は先発出場が13試合にとどまりましたが、6月以降は福留の不振に乗じて一番打者に定着。以後、9月に折れたバットが肺に刺さるという事故で離脱するまでに20本塁打を放ちました。しかし、守備面では守備防御点が-2とイマイチ。また、30四球に対し100三振の粗さも目立つため、うかうかしていればまた福留選手にレギュラーを奪い返されかねないのでこの辺は改善しなければならないでしょう。



13、アイク・デイビス(メッツ・一塁手・23歳)
今季成績:147試合 2割6分4厘 19本塁打 71打点 OPS7割9分1厘



早くもニューヨークの人気者になりそうなルーキー。今季は開幕からレギュラーに定着し、4番で58試合、5番で45試合に起用されるなど新人らしからぬ活躍で貧打にあえいだチームを引っ張りました。一塁守備もレベルが高く、守備防御点は13。また、ファールフライを常に全力で追いかけるなどガッツあふれるプレーも魅力で早くもニューヨーカーたちの心をつかんでいます。



14、ジョン・ジェイソ(レイズ・捕手・26歳)
今季成績:109試合 2割6分3厘 5本塁打 44打点 OPS7割5分



選球眼抜群の捕手。開幕時はディオナー・ナバーロ、ケリー・ショパックに次ぐ三番手捕手の扱いでしたが両者とも不振に陥ったため、正捕手に定着しました。特筆すべきはその選球眼。404打席で59四球を選び出塁率は打率より1割以上も高い3割7分2厘。さらに三振はわずか39個。そのため一番で45試合起用されました。これでもう少しパワーがつけば、捕手としては申し分ない打撃力となるでしょう。守備面でもリードの評価が高く、強力投手陣から厚い信頼を置かれました。来季以降も正捕手の座を守り抜いてもらいたいです。




15、二―ル・ウォーカー(パイレーツ・二塁手・24歳)
今季成績:110試合 2割9分6厘 12本塁打 66打点 OPS8割1分1厘



将来のパイレーツを担う期待の二塁手。開幕は3Aだったものの、5月に昇格しレギュラーに定着しました。シュアな打撃がウリで後半戦は打率3割6厘を放つなどし3番打者をまかされるようになりました。チームからの期待は高く、今後は18年連続負け越し中のかつての強豪球団再生への救世主となれるか注目されます。




明日で最後。




ではでは。

2010年11月27日土曜日

西岡はツインズへ!

ポスティングシステムでの大リーグ挑戦を目指していた西岡選手の落札球団がミネソタ・ツインズであることが判明しました。



ツインズは今季正二塁手だったオーランド・ハドソン選手の退団が濃厚であり、遊撃を守ったJ・J・ハーディー選手もトレード要員との報道があります。ユーティリティのアレクシ・カシーヤ選手は球団からの評価が高く、残留は確定的ですが通算打率2割4分9厘と打撃面に弱点があるためレギュラーは微妙。西岡選手がレギュラーに入れる可能性は非常に高いと思われます。





それに、西岡選手はツインズの野球に非常にマッチすると思います。機動力やスクイズなどの小技を駆使し、長打力は少ないながらも多くの得点をとる。そのスタイルは今季の千葉ロッテに非常に似ています。守備面も重視するので西岡選手の活躍の余地は大きいです。また、ファンが温かいことが有名で非常にやりやすい環境だと思います。




問題は、肩が弱いこと。バレンタインは西岡について「肩が弱いため二塁が適任」と言っている通り西岡はハドソンの後釜として二塁に入ると思われます。西岡は遊撃へのこだわりがあるだろうのでその辺を割り切ることができるかどうかです。




ともかく、守備力・脚力は十分あるので後は打撃面。今季はパ・リーグではイチロー以来となる200安打を放ちましたが過度の期待は禁物。とりあえず、今季のハドソンの成績(打率2割6分8厘、OPS7割1分)レベルの数字を残すことができれば御の字だと思われます。




ではでは。

2010年11月26日金曜日

2010年MLBを彩った20人のルーキー②

新人紹介企画第二弾。




6、オースティン・ジャクソン(タイガース・外野手・23歳)
今季成績:151試合 2割9分3厘 4本塁打 41打点 OPS7割4分5厘



今年は4月にメジャーデビューを果たすと、月間打率3割6分4厘の活躍で月間最優秀新人に選出。最後の最後で16打席無安打と不振に陥り惜しくも3割は逃してしまいましたが、シーズンを通して常にハイアベレージを記録しました。27盗塁を記録した足や守備面でも評価は高く、パワーもまだまだ伸びていくはずといわれておりヤンキースに移籍したグランダーソン選手の後継者にはもってこいの存在でしょう。ただ、47四球に対し170三振は一番打者じゃなくとも粗すぎ。この点を改善できるかが今後彼がトッププレイヤーになっていくか勝負の分かれ目だと思われます。



7、ブレナン・ボッシュ(タイガース・外野手・25歳)
今季成績:133試合 2割5分6厘 14本塁打 67打点 OPS7割3分6厘



今季は開幕こそ3A出迎えましたがその後すぐにメジャー昇格を果たし4月30日のエンゼルス戦でメジャー初打席満塁本塁打を放ちました。その後も好調は続き、前半戦は打率3割4分2厘、12本塁打、OPS9割9分という大活躍。新人王は確実視されていましたが後半戦は打率1割6分3厘と大失速。一気に評価を下げてしまいました。しかし、球団は彼を将来の主砲とみておりこの挫折をバネにしてさらなる飛躍を目指してほしいと思います。



8、ウェイド・デイビス(レイズ・投手・24歳)
今季成績:29試合 12勝10敗 防御率4・07 奪三振113



デビューは昨季終盤のタイガース戦。勝敗はつかなかったものの7回1失点9奪三振の好投を見せ大きくアピール。今季は先発5番手ながら開幕ローテ入りを果たしプライス・シールズ・ガーザ・ニーマンらとともに強力先発陣を形成。7月には4勝を挙げ月間最優秀新人に選出。しかし、その一方6月には5敗を喫するなどいまいち安定感に欠けるのが欠点。ここは改善の余地があるでしょう。



9、ブライアン・マティス(オリオールズ・投手・23歳)
今季成績:32試合 10勝12敗 防御率4・30 奪三振143



昨季5勝を挙げ今季は開幕からローテに定着。前半戦は3勝9敗と苦しみましたが、後半戦は7勝3敗、防御率も3・63と安定したピッチングを見せました。今季のオリオールズは地区最下位に沈んだもののバック・ショ―ウォルター監督就任後34勝23敗と来季に望みをつなぎました。マティスは外野のマーケイキスやアダム・ジョーンズらとともにオリオールズ復活の命運を握っている選手といわれて間違いないでしょう。



10、ハイメ・ガルシア(カーディナルス・投手・23歳)
今季成績:28試合 13勝8敗 防御率2・70 奪三振132



メキシコ出身の左腕投手。今季は先発5番手として一年間ローテを守り抜きました。13勝、防御率2・70はともに新人トップの成績。2008年にトミー・ジョン手術を受けた経験があるため故障が心配(実際今季も大事をとって9月13日でシーズン終了)な点やWHIPが1・32とよくない点などが気がかりですが、今後はエースとまではいかなくても、先発2番手か3番手あたりで安定した成績を残してくれることだと思われます。




今日は以上です。




ではでは。

2010年11月25日木曜日

2010年MLBを彩った20人のルーキー①

今年のメジャーリーグは数多くの新人選手が活躍した年でした。そこで、今回は私が選んだ20人の新人選手を4回に分けて紹介していきたいと思います。

1、バスター・ポージー(ジャイアンツ・捕手・23歳)
今季成績:108試合 3割5厘 18本塁打 67打点 OPS8割6分2厘



今季のナショナルリーグ新人王。実質一年目ながら正捕手としてMLBトップクラスの投手陣を引っ張り、打撃面でも4番を任されるなど大活躍。チームの56年ぶりの世界一に貢献しました。その活躍ぶりはMVPにも値するとの声も聞かれました。順調にいけばツインズのジョー・マウアーのようなスター捕手になれることは間違いないでしょう。




2、ネフタリ・フェリス(レンジャーズ・投手・22歳)
今季成績:70試合 4勝3敗 40セーブ 防御率2・73



今季のアメリカンリーグ新人王。4月途中からクローザーに抜擢されると順調にセーブ数を積み重ね、佐々木投手の持つ新人セーブ記録を更新するなど活躍しチームのワールドシリーズ進出に貢献しました。WHIPも0・88と抜群の安定感を誇り、今後のさらなる飛躍が期待されます。




3、マイク・スタントン(マーリンズ・外野手・20歳)
今季成績:100試合 2割5分9厘 22本塁打 59打点 OPS8割3分3厘



メジャーを代表するスラッガーになりうる逸材。100試合の出場ながら22本塁打はルーキーの中でもメジャートップの数字を誇ります。守備面でも守備防御点17に加え補殺も10記録するなど貢献度が高く、かつてのケン・グリフィーJrのような選手になれるかもしれません。今季359打席で123三振の粗さは課題。




4、ギャビー・サンチェス(マーリンズ・一塁手・26歳)
今季成績:151試合 2割7分3厘 19本塁打 85打点 OPS7割8分8厘



比較的遅咲きのルーキー。同僚のスタントンのようなスター性はありませんが、非常に堅実な選手です。今季放った37二塁打、85打点はルーキートップの数字。エドウィン・ゴンザレス監督からは「ときどき彼がルーキーであることを忘れてしまう」と言われたように寡黙で練習熱心なことも魅力。マイク・ローウェルのような地味ながら安定感のある選手になっていくように思います。




5、ジェイソン・ヘイワード(ブレーブス・外野手・21歳)
今季成績:142試合 2割7分7厘 18本塁打 72打点  OPS8割4分9厘



メジャー初打席で3ランホームランを放った、今季を象徴するルーキー。ジャイアンツが世界一になっていなければ新人王は彼のもとにわたっていたかもしれません。怪我の影響で不振だった6月を除けば安定した成績を残し続け、崩壊状態だったチームの外野陣を支えました。11盗塁を記録するなど足も使えるうえ守備でも守備防御点17を記録。また、リーグ4位の90四球を選ぶなど選球眼にも優れ、シーズン終盤には新人らしからぬ風格すら感じられました。今季は2番を打つことが多かったですが、来季以降は3番に座るものと思われます。2010年代を代表するスター選手になることは間違いないでしょう。




今回はここまで。



ではでは。