2010年11月30日火曜日

セイバーメトリクス入門①

私が野球関連のネタでよく使っている、OPS、WHIP、守備防御点などの指標。これは2000年以降注目されるようになった、「セイバーメトリクス」という理論に基づく指標です。今回はこれらの指標について説明していきたいと思います。


1、OPS(on base plus slslugging)
算出方法:出塁率+長打率

セイバーメトリクスにおける打者の指標のうちもっとも基本的なものがこのOPSとよばれるもので、出塁率と長打率を足し合わせることで算出されます。選手の守備位置により異なりますが、一般に7割5分が平均的数値とされ9割を超えていれば一流打者、逆に7割未満ならレギュラーが微妙になってきます。現在のメジャーリーグでは出塁率を非常に重視するようになっています。たとえば打率2割8分、出塁率3割8分の選手は打率3割、出塁率3割5分の選手よりも高く評価されることが多いです。また、長打力があればあるほどチームに得点が入る可能性が高いためOPSはメジャーでは打者の力量を表す数値であるとして広く用いられるようになっています。




一方このOPSには問題も有ります。一つは走塁能力の評価ができないこと。これは算出方法を見れば明らかでしょう。もう一つは数字だけでは打者のタイプが判別しにくいこと。たとえば、出塁率4割・長打率4割の選手も、出塁率3割・長打率5割の選手もOPSはともに8割。これではその選手が「パワーはないが出塁能力にたける選手」であるのか「出塁能力は低いが当たれば大きい選手」であるのかわかりません。




そこで、新たに考えだされたのがNOI(New Offensive Index)という数値。算出方法は(出塁率+長打率÷3)×1000で見ての通り出塁率は長打率より3倍重要とする考えから生まれたものです。この数値を使って、ブルワーズのコリ―・ハート選手とアスレチックスのダリク・バートン選手の成績を比較してみましょう。




まず、ハート選手の今季の成績を見てみると出塁率は3割4分、長打率は5割2分5厘ですので
OPSは8割6分5厘。主砲としては十分な成績です。一方バートン選手は出塁率は3割9分8厘と好成績ですが長打率は4割5厘と低いのでOPSは7割9分8厘にとどまっていしまいます。しかし、両者のNOIを比較すると、ハート選手は515、一方バートン選手は528とバートン選手の方が上です。このことからハート選手が「出塁能力は低いがパワーのある選手」、バートン選手が「パワーレスだが出塁能力が高い選手」ということが分かります。この数値は元々資金難により長距離砲が獲れないアスレチックスが低コストで得点能力を上げる方法を模索していたときに考え出されたものであるので、バートン選手はある意味アスレチックスの象徴的選手といえるでしょう。




これ以外にもメジャーには日本ではなじみのない指標が色々あります。これからもこのブログではこうした指標を取り上げていきますので皆さん楽しみにしといてください。




ではでは。

1 件のコメント:

  1. セイバーメトリクスのおかげで大学の統計学にはまったわ。「メジャーリーグの数理科学」って本おすすめ

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