2010年11月24日水曜日

薬物中毒を乗り越えて

テキサス・レンジャーズのジョシュ・ハミルトン外野手が今季のアメリカンリーグ最優秀選手に選出されました。



今季は両リーグトップの打率3割5分9厘に32本塁打、100打点という成績。9月という大事な時期にケガで戦線離脱していたことはマイナスポイントですがそれでも堂々たる成績です。




今やメジャー有数の外野手となったハミルトンですが、その野球人生はまさに波乱万丈。1999年にドラフト全米一位で当時のタンパベイ・デビルレイズに指名されるなど期待の大きかったハミルトンでしたがここから挫折が始まります。2001年に交通事故に巻き込まれると、その治療中にドラッグにのめり込むようになってしまったのです。さらに体中に入れ墨を入れるなど素行は最悪。2004年2月には自己2度目の出場停止処分を受け、球界から姿を消します。




その後のハミルトンは何度も自殺を考えながらも更生施設に8度も入所するなどして何とかドラッグを克服。そして2007年シンシナティ・レッズで待望のメジャーデビューを果たします。その年は故障の影響も有り90試合の出場にとどまりましたがそれでも19本塁打。大器の片りんを見せつけます。さらに翌年テキサス・レンジャーズに移籍すると才能が一気に開花。130打点を記録しオールスターにも初出場を果たします。2009年は低調でしたが今季は復活。特に6月は23試合連続安打を記録するなど月間打率4割5分4厘を記録。さらに、ヤンキースとのリーグ優勝決定シリーズでは打率3割5分、4本塁打という成績でMVPを獲得。チームのワールドシリーズ進出に大きく貢献しました。





打撃だけでなく、走塁・守備でも大きな貢献ができるハミルトン。これからの活躍に期待です。




ではでは。

D-TRAIN復活を願って

レッズネタ2連発になるんですが、今日球団はFAとなっていたドントレル・ウィリス投手(写真)とマイナー契約を結びました。


2003年にフロリダ・マーリンズでデビューしたウィリスはその年14勝を記録しチームのワールドチャンピオンに貢献。速球を武器にすることからD-TRAINと呼ばれるようになりました。2005年にはリーグトップの22勝(10敗)、7完投5完封をマークするなど大活躍し名実ともに大投手の仲間入りを果たしたかに思われました。しかし、この年の無理が祟ったのかそれ以降は低迷。2007年にはリーグワーストの118自責点を記録してしまいオフにデトロイト・タイガースに放出されます。移籍初年度も低迷は続き0勝2敗、防御率9・38と散々な成績。もはやストライクすらほとんど決まらなくなってしまいました。今季はシーズン途中にアリゾナ・ダイヤモンドバックスに移籍しましたが、6試合で1勝に防御率6・85と期待にこたえられずすぐに解雇されました。




すでに「過去の人」になった感じの強いウィリスですがまだ28歳。衰えるにはあまりにも早すぎます。しかし、今の彼はスピードや三振を意識するあまりコントロールがおろそかになっている気がします。そして何より完全に自信を失ってしまっているようにも思います。そこで、僕はいっそのこと彼に日本で投げさせてみてはどうかと思います。ノーコン投手だったコルビー・ルイス(現レンジャーズ)のように日本で活躍することで再びメジャーの舞台に戻れるのではと思うからです。ルイスによると、日本では無理な移動もなく、自分の登板予定がない場合はロードに帯同しなくてもよいうえ確実に中5日のローテが回されているなどメジャーでは考えられない環境だったそうです。そのうえ、球団が自分の家族などに手厚いサービスをしてくれるなど、自分のピッチングのみに専念できる状況だったとのこと。それに日本の打者はメジャーに比べるとレベルが低い。これなら、ウィリスも安心して、自信を持って投げられることができると思います。そして、日本でコントロールを身に付けたウィリスが再びメジャーに戻ってくる―そんなシナリオが僕の頭の中で描かれています。




彼が日本に来てくれるかどうかは分かりませんが、選択肢の中に入っていてもいいはず。兎にも角にも、再び彼のあの豪快なピッチングフォームが見たい、そう強く思います。D-TRAINが復活してくれることを心から願います。



ではでは。

2010年11月23日火曜日

新生ビックレッドマシン

今日ナショナルリーグのMVPが発表され、シンシナティ・レッズのジョーイ・ボットー内野手が初受賞しました。



27歳のボット―は今季打率3割2分4厘(リーグ2位)、37本塁打(3位)、113打点(3位)、出塁率4割2分4厘(1位)という成績。さらに16盗塁を決めるなどチームの地区優勝に大きく貢献しました。




今シーズン15年ぶりにプレーオフに戻ってきたレッズには有望な若手野手がボット―以外にも大勢います。リーグ優勝を決める劇的なサヨナラ本塁打を放った(http://reds.mlb.com/video/play.jsp?content_id=12550307)23歳のジェイ・ブルース外野手もその一人です。前半戦は昨季からの不振を引きずっていた感じがありましたが、後半戦は8月と9月だけで15本塁打を放つなど本来の実力を発揮。大砲として来期以降に期待が持てるシーズンとなりました。また、守備防御点も17と記録するなどその活躍は打撃面だけにとどまらず2010年代トップクラスの外野手になるだろうと思われます。また、同じく優勝を決めた試合でスーパーキャッチをみせた25歳のドリュー・スタブス外野手も期待の選手。今季は22本塁打に加え30盗塁を記録するなど大活躍。168三振の粗さを改善できれば、メジャー屈指の一番打者になれるでしょう。




投手陣にも期待の若手は多くいます。24歳のジョニー・クエト選手(写真)は今季12勝。シーズン途中には22歳のマイク・リーク選手も昇格し8勝を挙げました。さらに終盤にはキューバ人左腕のアンドレス・チャップマンもデビューするなどしました。ブルペン陣が安定すれば、ピッチングスタッフもメジャー屈指になれるかもしれません。




かつての1970年代、圧倒的強さを誇ったシンシナティレッズはビックレッドマシンと呼ばれていました。先日亡くなった名将スパーキー・アンダーソンのもと野手陣では通算4256安打のピート・ローズ、捕手としてメジャー史上唯一本塁打王を獲得したジョニー・ベンチ(写真)、4番を打ったジョージ・フォスター、史上最高の二塁手といわれるジョー・モーガン、379本塁打を放ったトニー・ペレスらが、投手陣では通算311勝のトム・シーバーらが活躍し2度の世界一に輝きました。





来たる2010年代、再びレッズの時代が訪れるのか、非常に期待が高まります。





ではでは。

2010年11月22日月曜日

来季のアスレチックスについて考える

御存じの通り、岩隈投手とアスレチックスとの契約交渉が破談になりました。年棒面で両者に大きな隔たりがあったとのことです。一部報道によれば、岩隈投手側はバリー・ジト並みの大型契約(7年1億2千万ドル)を要求していたとのことですから無理のないことでしょう。




大物選手を逃してしまった形になったアスレチックスですがそれでも来期には期待が持てます。





まずは投手陣。今季は18勝をあげたトレーバー・ケーヒル(22歳、写真)をはじめ、15勝のジオ・ゴンザレス(24歳)、完全試合男のダラス・ブレーデン(26歳)などと若手先発投手陣が奮起。さらにシーズン途中には有望株のブレット・アンダーソン(22歳)が定着。来季以降は2000年代前半に猛威をふるったビッグ・スリー(バリー・ジト、マーク・マルダー、クリス・カーペンター)以上の先発投手陣が形成されることでしょう。ブルペン陣もまずまずの働きを見せ、今季のチーム防御率はリーグトップの3.58。投手陣は来季も心配ないでしょう。




問題なのが打撃陣。特に長打力のなさは深刻でチーム本塁打数はマリナーズに次いで少ない109本、チームで最も多く本塁打を打ったクーズマノフでも16本でした。指名打者のカストの退団が濃厚なので新たな長距離砲の獲得がオフの最大の課題でしょう。そんな中、獲得候補に挙がっているのが松井秀喜。今季は不振だなどといわれていますがそれでもチームトップのOPSを残すなど維持は見せました。もともとアスレチックスには30本塁打以上打てるような選手を獲得する余裕はないので松井のように「2割8分、25本塁打」レベルの数字を残してくれる選手は非常に魅力的だと思います。同じように獲得候補に挙がっているといわれているのがマニー・ラミレス。今季は低調な成績に終わりましたがまだまだやれるはず。マスコミからのプレッシャーや規律の少ないオークランドでのびのびとプレーすれば復活してくれるかも、ということも考えられなくはないと思います。




打撃陣にも期待できる選手は多くいます。リーグトップの110四球を選び二番打者に定着したダリック・バートン一塁手(24歳)、来季の3番打者候補のライアン・スウィニー外野手(25歳)、日系人捕手のカート・スズキ選手(26歳、写真)、将来の4番候補のクリス・カーター外野手(23歳)などは来季さらなる飛躍が期待されています。また、オフにはロイヤルズからデービット・デーへイスース外野手を獲得。長距離砲ではないですが3割近いアベレージを常に期待できる安定した選手なので、よい戦力になってくれるでしょう。





最後に残念なニュース。長年アスレチックスの屋台骨を支えてきたエリック・チャべス三塁手の退団が濃厚となりました。マネーボールの象徴として毎年100個近い四球を選び、コンスタントに25本塁打以上を記録してきたチャべスですが、ここ数年はけがに悩まされここ3年の出場試合数はわずかに64。自慢の三塁守備もままならなくなってしまいました。まだ32歳。老けこむにはまだまだ早いと思うので、新天地で活躍してくれることを願っています。




ではでは。






2010年11月21日日曜日

アジア最高の打者へ

広州で行われているアジア大会の野球競技で韓国代表が見事、金メダルを手にしました。韓国ではこうしたアジア大会や五輪で優勝した選手には兵役免除という特権が与えられます。今回の韓国代表チームの面々もそうでした。そのした選手たちの中にメジャーリーガーもいます。クリーブランド・インディアンズに所属する秋信守外野手です。


28歳の秋は今シーズン打率3割、22本塁打、21盗塁、リーグ8位の83四球を記録。走攻守3拍子揃った活躍で低迷するチームを引っ張りました。OPSも9割近い数字を残し、メジャーファンの間ではアジア最高打者はイチローではなくこの秋だ、という声も多く聞こえるようになりました。





そんな彼に立ちはだかったのが、兵役という大きな壁でした。韓国人男性は30歳までに兵役に就くことが義務とされています。そのため、秋は選手として最も脂の乗った時期に兵役に取られてしまう危険性があったのです。2009年のWBCでは主軸打者として韓国の準優勝に貢献したため、国内からも免除を求める声が高まりましたが、残念ながらそうはいきませんでした。次のロンドン五輪からは野球が公式競技から外されます。秋にとって、このアジア大会が最後のチャンスでした。それゆえ、今回の優勝は本人にとってもインディアンスにとってもこの上なく喜ばしいことだったでしょう。





アジア大会終了後、さっそくインディアンズが秋に長期契約のオファーを出したとの報道がありました。最大の壁を乗り越えたこの韓国人打者のさらなる成長に期待したいと思います。




ではでは。

2010年11月19日金曜日

勝星よりもクオリティー

今日は久々にMLBの話題。2010年のア・リーグサイヤング賞(最優秀投手賞)にマリナーズのフェリックス・ヘルナンデス投手が選ばれました。


弱小マリナーズに所属していたため勝星こそ13勝(12敗)と伸び悩みましたが、メジャートップの防御率2・27、リーグ2位の232奪三振、リーグ最多の249 2/3イニングを投げました。特に後半戦の安定感は素晴らしく防御率は何と1・53(但し6勝7敗w)。リーグ最多の21勝を挙げたサバシア(ヤンキース)、19勝のプライス(レイズ)を抑えての堂々の受賞でした。




勝星だけで見るとサバシアやプライスの方が上でしたが内容はヘルナンデスの方が圧倒的に上。防御率ではヘルナンデスの2・27に対してプライスは2・72、サバシアに至っては一点近くも悪い3・18でした。



このように、メジャーでは先発投手を評価するうえで勝星より内容を重視する風潮が強くなってきています。これは非常に公平なことだと思います。しかし、一昔前だと防御率や奪三振数よりも勝星の方が重要視されていました。ですから弱小球団の投手だと、たとえいい投球内容を残しても同賞に選ばれないことが多々ありました。



その最たる例がノーラン・ライアン。


通算324勝、メジャー史上最多の5714奪三振、史上最年長の44歳での達成を含む通算7度のノーヒット・ノーランなど輝かしい成績を残すライアンですが、意外なことにその27年にもおよびキャリアの中でサイ・ヤング賞に選ばれたことは一度もありません。弱小球団のエンゼルスに8年、アストロズに9年も所属していたため、勝星が伸び悩んだのが最大の原因(エンゼルス時代には16敗以上したシーズンが5度も有った)でしょう。特にアストロズ時代の1987年にはリーグトップの270奪三振、同じくトップの防御率2・76を記録したにもかかわらず打線の援護に恵まれず、8勝16敗と大きく負け越したため受賞を逃しました。メジャー史上、最多奪三振と最優秀防御率のタイトルを手にしながらもサイ・ヤング賞を逃した投手は彼だけです。




今の風潮を見ている限り、今後ライアンのような悲劇に見舞われる投手は現れることはないでしょう。野球に革命をもたらした、とまで言われているセイバーメトリクスはこんなところにも影響を及ぼしていたんですね。




ではでは。


2010年11月15日月曜日

7月4日に生まれて

映画批評第二弾。今回はオリバー・ストーン監督の「7月4日に生まれて」。トム・クルーズの代表作の一つです。



あらすじは自分でググって調べてください。ただ、本当に素晴らしい映画だと思います。




「戦争そのもの」を描いた映画というのは数多くありますが、「戦争のその後」を描いた映画は珍しいと思います。誰にも触れられることのなかった帰還兵の苦悩、現場の惨上を知らないにもかかわらずただマスコミに流されて彼らを非難する市民たち。私たちは後者になってしまってはいないだろうか?私たちは本当に戦争の悲惨さを理解しているのだろうか?そんなことを考えさせらました。




それから、トム・クルーズの演技も素晴らしいと思います。特に帰還後、周囲の人たちに加え家族の理解も得られなくなったときの主人公の狂いそうになるくらい思い悩む姿、これを見ていると本当に胸が張り裂けそうになりました。この映画のメインタイトル(ジョン・ウィリアムス作曲)の中盤に出てくるトランペット・ソロの醸し出す孤独感もそんな主人公の心情を表しているのかもしれません。



皆さんにもぜひ一度見ていただきたい、そんな映画でした。




ではでは。