第4弾です。今回は選手個人ではなくチーム全体の成績に関する指標を紹介。
6、ピタゴラス勝率
算出方法:(総得点の2乗)÷(総得点の2乗+総失点の2乗)
これはチームの得点数と失点数から、そのチームが年間何勝できるかを予測する指標です。野球は得点を多く上げた方が勝利するスポーツですから、失点よりも得点の方が多いチームほど多くの勝利を上げられるはずです。そんな得点と失点の数こそが、そのチームの真の実力を反映しているのである、という考えから生まれたのです。正式には、1・83乗するそうですが2乗にしても大差はないです。一見すると、かなりあてずっぽうな指標に思えますがこれが意外に正確。たとえば、今シーズンのア・リーグ東地区を例に挙げてみましょう。
総得点 総失点 ピタゴラス勝率(勝利数) 実際の勝率(勝利数)
TBD 802 649 .604(98) .593(96)
NYY 859 693 .606(98) .586(95)
BOS 818 744 .547(89) .549(89)
TOR 755 728 .518(84) .525(85)
BAL 613 785 .379(61) .407(66)
完全に正確とまではいきませんが、かなり近い数字が出ています。ピタゴラス勝率による勝利数と実際の勝利数との差が±3くらいであれば、そのチームは真の実力通りの成績を残したといえます。誤差はある程度出てしまいますが、何度も計算していると得失点差と勝率との相関関係がかなり強いことが分かるはずです。しかし、チームによっては実際の勝率とピタゴラス勝率の差がかなり開いてしまうことも有ります。今年のヒューストン・アストロズを例に挙げてみましょう。
総得点 総失点 ピタゴラス勝率(勝利数) 実際の勝率(勝利数)
HOU 611 729 .413(67) .469(76)
このように、勝利数にして9もの差が出てきています。このような場合には2つの可能性が考えられます。1つはただ単に運が良かっただけということ。接戦はものにしますが負ける時は派手に負けるというようなチームは安定感に欠けます。つまり、実力以上の結果が出てしまっているので翌年は成績が悪化してしまう可能性があります。もう1つは監督の力量が素晴らしかったということ。アストロズの場合、今季指揮を執ったミルズ監督は監督としてはルーキー。今季の出来はフロックであったのかどうかは、来季わかります。このように、ピタゴラス勝率は監督の能力を測る指標にもなりえるのです。
最後に興味深い資料を一つ。今季のパ・リーグ各チームのピタゴラス勝率を計算してみるとこのようになりました。
総得点 総失点 ピタゴラス勝率 実際の勝率
ソフトバンク 638 615 .518 .547
西武 680 642 .529 .545
千葉ロッテ 708 635 .554 .528
日本ハム 612 548 .555 .525
オリックス 644 628 .513 .493
東北楽天 576 635 .451 .440
面白いことに、Bクラスの日本ハムが1位。優勝したソフトバンクは4位にすぎません。3位から日本一になったことであれこれ言われているロッテですが、ピタゴラス勝率はソフトバンクや西武よりも上。これを見るとプレーオフの結果は妥当といえるかもしれません。逆に言うと、新人監督である西村監督は、もっとも優勝にふさわしい数字を残していたにも関わらずできなかった。すなわち、監督としての力量が未熟であったともいえるでしょう。
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